【Vol.19】不動産屋訪問の目的 | 不動産屋との交流・リアルな情報を収集する

このページで勉強できること…
  1. 不動産屋を直接訪問する目的
  2. 土地勘やエリア特性が養える
  3. 不動産業界に詳しくなる
  4. 優良な不動産屋を探し当て、関係を持つことができる
  5. 掘り出し物の物件が見つかることもある
  6. 不動産訪問の注意点

美容室経営成功の鍵を握る、不動産選定

独立開業したサロンが成功するか否か、70%以上を決めると言われる不動産選定。本連載では第17回より不動産屋を利用して物件を探していく具体的な方法について解説しております。

【Vol.17】物件探しの2つの方法 | 不動産屋で探す・内装屋に依頼する 【Vol.18】不動産の種類と訪問の前準備 | 不動産の種類と店舗探しのコツ

前回は不動産や不動産屋の種類を解説し、店舗探しを効率的に進めるための前準備を紹介しました。ところで、インターネットが発展した現代では物件探し・店舗探しもインターネットで行うことが可能です。
そんな現代において、実際に不動産屋へ足を運んで調査する必要はどの程度あるものなのか、疑問に思うことはありませんか?

そこで今回は、不動産屋を直接訪問する目的について具体的に解説していきます。

1. 不動産屋を直接訪問する目的

インターネットによる調査も不可欠ですが、やはり実際に外へ出て不動産屋を直接回ることは非常に大切です。

インターネットだけでたくさんの情報を手に入れることができる世の中になりました。が、やはり実際に自分の目で見て耳で聞いて手に入れた情報は理解度が断然に違い、また直接聞くことができる情報の精度も高いです。

直接訪問することで、次のようなメリットがあります。

メリット
  • 土地勘やエリア特性が養える
  • 不動産業界に詳しくなる
  • 優良な不動産屋を探し当て、関係を持つことができる
  • 掘り出し物の物件が見つかることもある

詳しく解説していきます。

2. 土地勘やエリア特性が養える

 地元で出店を考えている場合ならその土地のことはよく知っているかと思いますが、例えば東京で出店したい場合、あるいは他店舗展開を考えている場合など、必ずしも土地勘がある地域で出店するとは限りません。

実際に駅を降りてその土地を歩き、地域の観察をすることは出店地選びにおいて非常に重要だと言えるでしょう。

MEMO
  • どのくらいの人が活動しているのか
  • どのような属性の人が多いのか
  • 時間帯によりどう違うのか
  • 近くにはどんなランドマークがあるのか
  • 近隣の美容室はどのくらいあるのか
  • 駅前の美容室にはどんな客層の方が来店されているのか

実際のフィールドワークで手に入る情報は非常に多いです。

また、地元の不動産屋を訪問し、話を聞くことでさらにたくさんの情報が手に入ることもあります。
街の小さな不動産屋ほど地域のことに詳しいものです。長くにわたりその土地で地域密着の不動産業をしている場合が多く、貴重な話を聞けることがあります。
土地勘やエリア特性を養うには実際に行ってみるのが一番ですので、これだけでも直接不動産屋を訪問するメリットは大いにあると言えるでしょう。

3. 不動産業界に詳しくなる

さまざまな不動産屋を訪問することで、不動産業界に詳しくなれるということも直接訪問を繰り返すメリットです。

大手の不動産屋、地場の不動産屋とさまざまな不動産屋を訪れ、話を聞いていると不動産業界の仕組みやより効率的な物件探しの方法などへの理解が深まります。また、地域ごとや店舗の広さごと、築年数などによる相場の違いなども見えてきます。

さらに、物件が不動産屋から近くにある場合は直接見に行けることもあります。
そのような経験の積み重ねが優良物件、優良不動産屋を判断することにつながるのです。

4. 優良な不動産屋を探し当て、関係を持つことができる

不動産選びでは、実は「物件探し」よりも「不動産屋選び」の方がより重要です。なぜなら、基本的にすべての不動産物件は、全国どの不動産屋でも取り扱うことが可能だからです。

通称「レインズ」と呼ばれる国土交通大臣が指定する流通機構があり、不動産会社は取得した案件をレインズで共有することになっています。つまり、原則すべての不動産はすべての不動産会社で共有されているのです。
そのため、より重要なのは物件を探すことよりも「物件をどこで契約するか」がより重要なのです。

例えば、地元の小さな不動産屋の場合、大家さんと昔から長い付き合いがあって家賃交渉などがしやすいこともあります。
逆に、大手の不動産会社なら自社で多数の物件を取り扱っている場合もあります。また、店舗の賃貸に強い不動産会社が見つかることもあります。

時には、親身にレインズなどを探してくれたり、有力な情報を提供してくれる不動産屋に巡り合えることもあります。
これらのような、優良な不動産会社と巡り合い、継続的な関係を持つことで店舗選びは非常に加速します。

5. 掘り出し物の物件が見つかることもある

先ほどすべての不動産はレインズを通して全国の不動産屋に共有されていると解説しましたが、実は不動産屋が取得した物件がレインズに掲載されるまでに約1週間の猶予があります。

そのため、たくさんの不動産屋を回ることでまだレインズに載っていない掘り出し物件を先に見つかることもあります。また、名刺と「不動産シート」を渡しておいた不動産屋から「希望にあう物件が手に入った」レインズ掲載前に連絡をもらえる こともあります。

そのような掘り出し物件はネットでは見つかりませんので、直接の訪問をして人の縁を大事にするとよいでしょう。

6. 不動産訪問の注意点

ただし、直接の不動産訪問を続けていくデメリット・注意点もあります。

それは、たくさんの不動産屋を回っていると不動産屋側も「もう他の不動産屋で見ているだろうな」という心理になってしまうという点です。

注意
一社だけとの付き合いですと、不動産屋も他社に流れる前に良い物件を紹介して契約に結びつけたいと思い、積極的なアプローチをしてくれるものですが、逆にたくさん回っていると分かると有力な顧客だとは思われにくくなってしまいます。

その点を頭に入れた上で不動産屋回りをするようにするとよいでしょう。
また、巡り合った優良な不動産屋には定期的な訪問をしたり、連絡をとったりしてよりよい関係性を築いていくこともとても重要です。


今回は不動産屋を訪問する目的について解説いたしました。内容を簡単にまとめます。

不動産屋訪問をすることで、次のようなメリットがある☟

まとめ:不動産屋を訪問するメリット
  • 土地勘やエリア特性を養うことができる
  • 不動産業界に詳しくなり、優良物件・優良な不動産を見極められるようになる
  • 優良な不動産屋を探し出し、関係を持つことができる
  • 掘り出し物件が見つかることもある
  • 多くの不動産屋を回っていると、不動産屋側からの積極的なアプローチをしてもらいにくくなることがあるので注意が必要

繰り返しますが、不動産探しにおいて、優良な不動産屋と巡り合うことは非常に重要です。優良な不動産屋と巡り合い定期的なコンタクトをとることで、より良い物件に巡り合うためにも、土地勘を養うためにも、契約条件面をよくすることにも繋がります。

そのためにはやはり自分の足を動かし、直接やりとりをすることが何より大切なのです。次回の第20回では「不動産屋の訪問リストや物件リストの作成」について解説していきます。

この連載があなたの独立開業の助けになれば幸いです。