【Vol.29】メニューと価格を設定する | 自店の強みと競合店のリサーチから判断しよう

このページで勉強できること…
  1. 近隣美容室と合わせて考える
  2. コンセプトと利益目標に合わせて考える
  3. お客様に選ばれるメニューを考える
  4. 価格設定の方法と注意点

美容師として独立開業し、美容室オーナーになるまでに必要なこと、知っておきたいことをまとめたこの連載も今回で第29回です。

今回は「メニューと価格を設定する」というテーマで解説いたしましょう。
サロンのメニューと価格を決める上で、ポイントとなるのは次の2点。

ポイント
  • 近隣美容室と合わせて考える
  • 自店のコンセプトと利益目標に合わせて考える

まず1つめに「近隣美容室と合わせて考える」こと。近隣美容室を調査することで、地域にあった価格帯や必要なメニューが見えてきます。

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2つめに「コンセプトと利益目標」。コンセプトはこの連載中でも何度も出てきているワードですね。また、コンセプトの決定には利益目標が関わっていました。

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そして3つめが「自店の強みや他店との差別化」です。コンセプトを踏まえ、自店の強みを活かすことで、自店の価値を高めて近隣店舗と差別化することができます。

それでは詳しく解説していきましょう。

1. 近隣美容室と合わせて考える

メニューを考える時は、まず近隣美容室を調査することから始めましょう。近隣美容室のメニュー・価格帯を知ることで、その地域の客層を知ることもできますし、他の店舗と差別化した集客対策を検討することもできます。

メニューに関しては、基本的には近隣店舗が揃えているメニューを自店でも一通り揃えるのが無難です。「他店ではできるのに、自分の店舗では取り扱っていない」なんてことになるとお客さまが乗り換えを検討する際の妨げになります。

また、周りに比べて自店だけ明らかに料金を高く設定する場合、それなりの理由が必要です。まずは周辺の美容室の価格を基準にしておくと良いでしょう。

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近隣美容室を意識しすぎるのも要注意

一方で、近隣美容室を意識しすぎるのもあまりよくありません。調べれば調べるほどに影響されやすく、気が付けば同じようなメニュー、同じような価格設定になってしまう事も。それがプラスとなる場合もありますが、周りの美容室と溶け込んでしまい、個性が出なくなることもあります。

近隣の美容室では出来ないメニューをやってみたり、特定のメニューだけ他のサロンよりも極端に安くして、それをきっかけにしてお客様にご来店してもらう方法などが考えられます。

このように、近隣美容室から得た情報は、メニューや価格を考える上での重要な判断材料になります。

安易に低価格を売りにするのは要注意

近隣美容室を意識しすぎる例として、集客のために自店を安売りしてしまう例も多くあります。しかしこれを安易にやってしまうのは避けるべきです。

大きな資本力を持ったチェーン店など、低価格を売りにするお店は多くあります。このような美容室は安価でも利益を生み出せる仕組みが出来上がっています。これを知らずに価格での勝負をしようとすると、経営がうまくいかなくなってしまうことが多いのです。

では、どのようにして安売りせず自店を差別化していけばいいのか。そのポイントととなるのがコンセプトです。

2.コンセプトと利益目標に合わせて考える

周辺店舗との差別化を考える上で、大切なのがお店のコンセプト。どのようなお客さまに、どのような価値を提供したいのか?自店の強みはなんなのか?を考えることで、必要なメニューや価格設定が見えてきます。

また、そもそもですがコンセプトは利益目標とともに考えるべきものです。価格の決定には、利益目標から逆算して考えることも必要です。

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周りと対抗するために料金をあまりに安く設定してしまうと、利益目標を達成するためにはかなりの集客数が必要となり、そのぶん時間が取られるので自分のやりたいことが出来なくなってしまうこともあります。

近隣美容室の調査だけでなく、自店のコンセプトや利益目標を元にして考えることも大切です。

利益目標から逆算して価格を設定する

前述したとおり、近隣美容室を調査した上での価格設定はとても重要です。ですが、自店舗の強みやターゲット、利益目標が明確であれば、それを優先して考える方が良いです。

コンセプトも利益目標と合わせて考えていました。利益目標から細かく逆算していくことで、必要な来客数や客単価は自ずと見えてきます。

例えば、毎月100万円の売り上げが目標であれば、月間25日の営業日数として1日4万円。この4万円をどのようにして売り上げていくかは、自店のコンセプトや規模(セット面や従業員の数)に合わせて決まってきます。つまりは、平均の客単価を考えるということです。

  • 平均来店数8人(月間200人)→ 平均客単価5,000円
  • 平均来店数4人(月間100人)→ 平均客単価10,000円
  • 平均来店数2.5人(月間約63人)→ 平均客単価約16,000円

このように、目標とする平均客単価が決まれば、価格設定も自ずと決まってきます。ただし、前述の通り、他店よりも明らかに高い価格に設定するのであれば、それだけの理由(価値)が必要となります。


コンセプトを元に独自性のあるメニューを考案する

自店の価値を高めるには、コンセプトとターゲットを明確にして、自店の強みを引き出すメニューが必要です。

例えば、理容の免許も持っていて、メンズカットが得意であれば、ターゲットを男性のお客様に絞ってカットメニューには力を入れる方法もあります。その場合、パーマやヘッドスパなども強化を検討したいポイントとなる一方、トリートメントメニューなどは力を抜いてもいいかも知れません。

別の例として、定額制(サブスクリプション)で使い放題のサービスを導入するなども考えられます。例えば、会員期間はカラー料金となる「カラー会員制度」などがありますね。

このように、自分のお店が何に力を入れて、どの層をターゲットにするのかによっても必要なメニューや価格設定は変わってくるのです。

以上の通り、メニューと価格の設定には、競合店のリサーチと、自店の強み・コンセプトを考えることの両方が大切です。

これらを踏まえた上で、もっと良いお店にしていくためのポイントや、価格設定の注意点をここから少し解説していきましょう。

3. お客様に選ばれるメニューを考える

メニュー名にひと工夫加えたり、オプションメニューをつけたりすることで、よりお客さまに喜ばれるメニューにすることができます。

メニューの名前を工夫する

メニューの名前は、お客様が自分に必要なのか、どのようになれるかをイメージさせるうえでとても重要です。普通に「カット」、「カラー」だけでも良いですが、そこにひと工夫加えることで、よりお客様の興味をそそるメニューにすることができます。

例えば、メニュー名を単に「カット」や「トリートメント」とするのではなく、「くせ毛改善カット」や「ダメージ補修トリートメント」などにすれば、実際に得られる効果がイメージしやすいですね。

また、TOKIOトリートメントやオージュアトリートメントなど、有名な商材を使っているのであれば、そのままメニュー名にしてあげると良いでしょう。ブランド力を味方につけて、お客様の心をつかむことができます。

このように、このメニューでどのようになれるか、どういった効果が得られるかのイメージができるメニュー名を考えてあげると良いですね。


お悩みを解決するメニューは売れやすい

お客様はいろいろな悩みを持って美容室を探しています。なので、お悩みを解決するメニューは選ばれやすいですし、ある程度高額でも売れやすいです。例を挙げると、髪の毛の傷み、癖毛、小顔にしたい、痩せて見えるようにしたい、白髪を隠したい、このような悩みを持ったお客さまは多いです。

コンセプトに合わせてこういった「お悩みを解決できるメニュー」を看板メニューにすることで、他店との差別化や集客につながります。


選べる料金設定にしてみる

松竹梅のようにお客様がコースを選べるようにするのも良い方法です。

  • スタイリストカット  4,000円
  • トップスタイリストカット 4,500円
  • オーナーカット 6,000円

このように選べるメニューになっていれば、給料日前なら節約のために金額の低いコースで済ませることも、お出かけの日は奮発して良いメニューを選ぶこともできます。

また、このように3段階でメニューを設定しておくと、人は自然と真ん中のメニューを選びやすくなるそうです。この性質を利用してあげることで、プラスアルファのついたメニューを選んでもらいやすくなり、平均のお客さま単価をあげることにもつながりますね。

他にも次のようなオプションメニューを用意しておくのもひとつの方法です。

  • 500円プラス → 炭酸シャンプー
  • 1,000円プラス → ヘッドスパ
  • 2,000円プラス → トリートメント

どちらもお客様自身が、自分の経済状況や予定に合わせて施術内容や金額を選択できるシステムです。幅広く価格を設定しておくことで、色んな客層のお客様に選んでもらえる美容室になります。


客寄せメニューをいれておこう

宣伝の方法として、「ロスリーダー」という方法があります。

ロスリーダーとは?
ロスリーダーとは、マーケティングの手法で、利益を考慮せずに極端に安く設定したメニューを置いておくことで客寄せを期待するものです。

このメニューを目当てに来たお客様にプラスで商材をおすすめして、他の商材で利益を得たり、リピーターになってもらえれば、長期的に利益を得ることが出来ます。

通常の価格より安くした分の価格は広告宣伝費としてとらえると良いでしょう。よくある方法としては、単品のカットやカラーを安く設定して、オプションなどを追加してもらうことで結果的に利益を得るパターンがありますね。

4. 価格設定の方法と注意点

価格の設定はとても重要ですので、十分に考慮してから決める必要があります。注意しておくべきポイントを紹介します。

値下げは簡単、値上げは困難

値下げをする際は、キャンペーンであったりクーポンであったり、様々な理由で簡単に出来ますが、値上げはそうではありません。

勿論きちんとした理由があれば上げる事はできます。しかし、同じサービス内容なのにそのまま料金を上げるというのはお客様にも説明しにくいことですし、マイナスイメージにつながる可能性もあります。

一度決めてしまうと変更しにくいので、慎重によく考えて値段を設定しましょう。

料金設定は思い切って高めにする

自分が設定しようと考えている金額よりも1,000円~2,000円ほど料金設定を高めにしてみるのがオススメです。最初は自分のスキルに自信を持てず、料金を低く設定してしまいがちですが、思い切って少し値段を上げてみましょう。

理由としては、前述した値上げは難しいという話もそうですが、他にもあります。マインドの問題ではありますが、安い料金でやっていると「サービス内容よりも価格優先のお客様」が増えますし、集客のことばかりを考えて自分自身もしんどくなり、サロン経営も苦しくなっていきます。

逆に高めに設定することで、一人のお客さまにかけられる時間が増えるので、それだけのサービスを提供しやすくなります。また、それに見合ったサービスを提供できるようにと、自分でも努力するようになるでしょう。


今回は「メニューと価格を設定する」について解説いたしました。ポイントをまとめておきましょう。

まとめ
  • 周りの店舗を調査して、メニューの設定に役立てる。ただ、影響され過ぎるのは良くないので注意が必要
  • 利益目標から逆算して、価格を設定する
  • コンセプトに基づいた、独自性のあるメニューを考える
  • 値下げは後からでもできるが、値上げは困難

自店の強み・特色と近隣の競合店舗のリサーチ情報、どちらも考慮しつつ適切な判断をしていくことが大切ですね。

次回からは数回に分けて、「宣伝・広告」について解説していきます。

この連載があなたの美容室開業の助けになれば嬉しく思います。