【Vol.15】出店エリアの選定(2) | 候補となるエリアをさらに調査する

前回記事「出店エリアの選定(1)|統計資料から地域の特性を読み解く-vol.14」の続きです。
前回より、第12回で解説した出店エリア選定の重要な調査ポイント9点についてひとつひとつ深掘り解説しております。 9つのポイントを確認しておきましょう。

[出店エリア選定の調査ポイント]

① 都内、都下、県(首都圏)
② 最寄り駅の乗降客数
③ 所属市区町村の人口
④ 昼間人口/夜間人口
⑤ 近隣の学校分布と生徒数 (大学・女子大)
⑥ マンション分布
⑦ 近隣施設の状況
⑧ ターゲット層の生活導線
⑨ 近隣の美容室の件数

前回は④まで解説いたしましたので、今回は⑤〜⑨について解説いたします。

(※ なお、この記事は小規模サロンの開業を考える人にとっても参考になる内容ですが、主には「サロンを大きく成長・拡大させていきたい」と考える方へと向けて執筆しております。 あらかじめご了承ください。)

1. 候補となるエリアについてさらにリサーチする

前回記事で紹介した [出店エリア選定の具体的な進め方] をおさらいしましょう。

[出店エリア選定の具体的な進め方]

(1) 統計資料を読み解き正確なデータを得る
(2) 正確なデータをもとに、統計から地域の特性を把握する
(3) 地域特性をもとに自分のイメージする理想の店舗に最適な出店エリアの候補を選び出す
(4) 候補に上がったエリアについて、エリアについてのさらに細かい情報を調べる

前回記事で解説した内容が(1)〜(3)にあたる内容です。 今回は、統計分析から選び出したエリア統について、さらに細かい情報をリサーチする調査段階についての解説です。

統計分析をすることで、駅についての調査や昼間人口/夜間人口の比率などからエリアの特色が大まかにつかめているはずです。 ここからの調査により、エリアの特徴をさらに深く読み解き、自分にとっての理想的なエリアはどこなのか探っていきましょう。

2. エリアの特徴を捉える

商圏分析や駅についての調査、人口調査によりある程度候補となるエリアを絞ったら、それらのエリアについて次の調査をしてみましょう。

(1) エリアの学校分布や生徒数(大学・女子大)
(2) マンション分布
(3) 競合する美容室の件数を調査する

(1) エリアの学校分布や生徒数(大学・女子大・美容専門学校)

学生も有力な見込み客となります。 大学や女子大がエリア内にあればそれも地域の特徴となりますので、学校規模・生徒数までリサーチしておきましょう。

また、例えば最先端の美容技術をいち早く取り入れSNS発信を使いこなす戦略を考えていたり、ハイトーンカラーなどの尖った技術を武器と考えていたりするのであれば、流行りに敏感な美容専門学生は見込み客として重要でしょう。

同様に美容専門学校についても場所や生徒数のリサーチをしておくのがおすすめです。

学校分布のリサーチ方法

学校分布のリサーチは「データ」と「視覚」の両方で行うのがおすすめです。

視覚的な調査としては[Google Map]の利用が便利です。 Google Mapで検索すれば、学校の立地を地図上で把握できますので、最もわかりやすいでしょう。

(引用元 : [Google Map]

データとしてリサーチするなら、「[ALL東京都大学受験辞典]」のようなサイトを利用すると良いでしょう。(東京以外の大学も載っています)

このような受験サイトを利用することで、「生徒数の多い大学」「人気の高い大学」の立地や特色を調べることができます。

(引用元 : [ALL東京都大学受験辞典]

生徒数のリサーチ方法

生徒数をリサーチするのはGoogle Mapや政府統計のような便利なものがないため少々骨が折れるところなのですが、素晴らしい調査統計をしてくださったWebサイトを見つけたので紹介しておきます。

ブログ「[数字作ってみた]」さんの記事「[各大学の在籍学生数(2019年5月1日時点)大学 学生 ランキング]」に767もの大学を生徒数順で並べたランキンが公開されております。

ランキングのTOP50をグラフ化した画像がありましたので、引用し紹介させていただきます。

(引用元 : [各大学の在籍学生数(2019年5月1日時点)大学 学生 ランキング | 数字作ってみた]

これは2019年現在のデータですので、もし最新情報を調べたい場合は、旺文社さんから毎年発売される情報誌[大学の真の実力 情報公開BOOK]を購入して利用するのが良さそうです。

(2) マンション分布

都内の場合はどこにでもマンションはありますのでさほど重要ではありませんが、地方での出店を考える場合はマンションの分布もリサーチしておくと良いでしょう。

一般社団法人マンション管理業協会の[平成28年マンション管理受託動向調査結果概要]によると、マンション1棟あたりの平均世帯数は51.65世帯だそうです。つまりは、マンションがひとつ近くにあるだけで約50もの世帯(=おおよそ150人前後)が商圏に入ってくるわけですので、非常に大きな存在です。

また、都内だとしてもタワーマンションが近くにあればビジネスチャンスは広がります。 20階を超えるようなタワーマンションでは200〜300世帯はザラにあり、大規模なタワーマンションでは1,000世帯を超えるようなものもあります。

タワーマンションの居住者は基本的に高所得者であり、そもそも高所得者が多いような立地にタワーマンションは分布しているものです。 そのため、特に高所得者をターゲットとする技術力もサービス品質を高めた高単価のお店を出店予定なら、積極的にタワーマンションの分布や規模についてリサーチしてみると良いでしょう。

マンション分布の調べ方

特定エリアにマンションがどのくらいあるのかを調べるだけなら簡単です。
[アットホーム][SUUMO][ライフルホームズ]などの不動産情報サイトで検索するだけでマンション数の目安を知ることができます。

あるいは大学と同様[Google Map]を使って検索してみるのも有効です。

検索キーワードとしては「○○駅 マンション」や「○○区△△ マンション」「○○市△△ マンション」など駅名や地域名を使って検索すれば良いでしょう。

また、タワーマンションの分布を調べるならこのような、[タワーマンションギャラリー]便利なサイトがありました。
こちらのサイトでは東京23区近郊が中心となりますが、タワーマンション分布をマップ上で確認したり、路線から検索したりと言ったことが可能です。

もちろん[Google Map]を使って「○○区△△ タワーマンション」と検索してみるのも有効です。

(3) 競合する美容室の件数を調査する

美容室の件数もエリアの特色を知るために重要なポイントとなります。 特に、全国チェーンを展開するような大規模美容室や、有名サロンの件数は出店エリアを探す大きな手がかりです。

まず単純にですが、美容室件数が多いエリアは競合が多いことになりますので、差別化をして自店の特色を打ち出したり、PRをうまくしたりと言った施策をして生存競争に勝ち抜く必要があります。

ただし、競合の美容室件数が少なければ良いというわけでもなく、競合店が多いということはそこにビジネスチャンスがあるから出店数が多いと捉えることもできます。このような考えからすると、先ほど述べた通り全国チェーンや有名サロンの件数が重要になるわけです。

チェーン展開するようなサロンほど出店エリアについてはよく吟味して決定しているものですので、チェーン店が密集している地域はビジネスチャンスがそこにあると考えて良いでしょう。

競合する美容室件数の調査方法

ここでも便利ツール「[Google Map]」の登場です。 たとえば、「新宿 美容室」で検索してみます。

(参考 : [Google Map | 新宿 美容室]

上の写真のように視覚的に確認することができます。

また、言わずと知れた美容室検索サイト[Hot Pepper Beauty]で検索してみれば、テキストデータとして競合店について調べることができますので、こちらもおすすめです。

ちなみに、もっと広域に都道府県レベルでの美容室件数が知りたいのであれば政府の統計資料を用いて調べることができます。例えば以下のような統計資料が有効です。
[衛生行政報告例 | 厚生労働大臣]

統計資料を見てみるとわかりますが、大手も個人店もひっくるめての「美容室件数」ということであれば、実は東京都は美容室件数が非常に少ない都道府県になります。

都道府県別の美容室分布とランキングが[都道府県別統計とランキングで見る県民性]というサイト様でわかりやすく紹介されていたため、引用させていただきます。

都道府県別美容室数 – とどランhttps://todo-ran.com/t/kiji/11169
都道府県別美容室数 - とどラン

(引用元 : [都道府県別統計とランキングで見る県民性]

こちらの資料は正確な統計をもとに作成されているようですので、都道府県別のデータなら上記の資料で調べるのがわかりやすくおすすめです。

3. ターゲット層の生活導線を考える

ここまで大学やマンション、競合店からエリアの特色を探りましたが、さらにエリアに踏み込んでみましょう。次の2点をリサーチします。

(1) 近隣施設の状況
(2) 生活導線

ここで意識するのはターゲット層です。このエリアにはどんな施設があるのか、それも踏まえてターゲット層の生活導線はどのようになるのかリサーチ・想定してみましょう。

(1) 近隣施設の状況

近隣にスーパーマーケットや娯楽施設などがある事もまた重要です。スーパーが最高だと言われていますが、その他の商業施設や市役所、大学など、人が集まる施設は「誘導施設」と呼ばれ、近くに出店できれば自然と露出が増えるため有利になります。
エリアの中にどのような誘導施設があるのかはチェックしておきましょう。

(2) 生活導線

スーパーマーケットや学校などの誘導施設、駅などの情報をもとにターゲットとなる人たちがどのような生活導線を通るのか意識することもポイントのひとつです。

地域に住む人たちが駅へと向かう導線や誘導施設へと向かう導線、電車でやってくる人たちが職場や誘導施設への向かう導線などを考えてみましょう。 地図上での最短経路がメインとなりますが、通りの大きさや道の明るさなども導線には大きく関わります。

川や線路などの障害物によって導線が限られてしまう立地の場合、商圏が狭まってしまうことがあるので注意しましょう。

4. まとめ | 出店エリア選定

以上、前回から2記事に渡って「出店エリアの選定」について解説いたしました。 前回内容から通して出店エリア選定の要点をまとめておきましょう。

[まとめ | 出店エリア選定]

  • まずは自分の理想とする店舗イメージやターゲット層を明確にして、理想的な出店エリアのイメージを持つ
  • データが正確な統計資料を読み解いて地域特性を把握することが重要
    駅の乗降者数、定期利用者割合、昼間人口、夜間人口など
  • 統計分析から見つかった候補となるエリアについて、近隣施設や競合などの調査を行い地域特性への理解を深める
    大学・女子大・美容専門学校の分布や生徒数、マンション、誘導施設、導線

このようなポイントを意識して出店エリアを探すことで、集客に大きな差が生まれます。

次回は、第12回でみた [不動産選定における15の重要ポイント] の後半、エリア選定後の「候補となる物件選定」における調査ポイント6点について深掘り解説していきます。